夜中に雨が降っていましたが、あがってどんよりとした京都東山です。さて、昨日はお葬式がありました。奥様が先に旅立たれ、既に夫婦位牌をおつくりになっていたのですが、今回、ご主人が旅立たれましたので、夫婦の戒名が記されたお位牌となります。
そこで、お位牌にご主人の戒名を彫ってもらうにあたって、いわゆる「魂抜き」のお作法を依頼されました。これは、撥遣供養(はっけんくよう)といわれるもので、仏像、位牌、お墓などに宿っておられる仏さまに、もともとおられるところへお戻りいただくことです。そうして、単なるモノとして作業にとりかかるのです。表白では「法性の果位に送り奉り」とお読み上げします。また、撥遣のお作法は、仏壇の引っ越しや、墓じまいなどの時にも行うお作法です。
例えますと、私たちが、家のリフォーム期間中は別の場所で暮らすようなことでしょうか。大工さんも私たちがいるところで仕事するわけにもいかないですしね。これは、墓石に文字を彫ったりするときも同じことです。
そして、位牌が完成したときには、開眼供養(かいげんくよう)です。こちらは「魂入れ」などと呼ばれます。仏像・位牌・お墓などが新しく完成したときに再び仏さまをお迎えするのです。
大切なことは、仏さまは目には見えませんが、お釈迦さまなり、阿弥陀さまなり、ご先祖さまなり、大いなる仏さまがそこにお越しになり、常におられるということを思うことです。したがって、ほったらかしにするのではなく、お参りしたり、お供え物をしたりと、行儀よく失礼がないようにと心がけるべきなのです。ただし、宗派によっては考え方が違うこともありますので、詳しくはお付き合いのあるご住職にお尋ねください。今日も楽しい一日を。

