放生会


 概ね晴れ空の京都東山です。今日の最高気温は35℃とまだまだ暑いです。さて今日は、新月となります。密教経典によりますと、満月もしくは新月に護摩供を修すれば、最も良く成就が得られると説かれています。

 そして、暦には「放生会(ほうじょうえ)」と記されています。雙林寺の近くの祇園辰巳大明神前では毎年6月に千日回峰行者大阿闍梨さまによる放生会が奉修されます。舞妓さんらも参列され、稚魚約2000匹が巽橋から白川に放たれるという法会です。しかし、今年はコロナの影響で中止されています。

 放生会とは、仏教における不殺生、不食肉の戒めに基いて、捕獲された魚や鳥などを買い受けるなどして野や海などに放って命を救う法会のことです。また、魚を放つ池を放生池と呼んだりします。

 「梵網経」には、あらゆる生き物は、もしかすると前世では私たちの父母かもしれないから、その命を救い、放生せよと説かれています。また、「金光明最勝王経」には、お釈迦さまが前世で流水長者であったときに、川の流れを止められて、枯渇してしまった池で死にそうになった魚のために、20頭の大象に水と食料を運ばせて命を救い、忉利天(とうりてん)に生まれ変わらせたという故事が説かれています。天台大師智顗さまは放生池をおつくりになったという伝承もあります。

 普段我々が飼育しているペットたちは、もしかしたら、人間の生まれ変わりかもしれないと思えなくもありませんし、家族同様に飼養することもできます。しかし、それ以外の生き物たちを前世では自分の両親だったかもしれないと思いなさいと言われてもそう簡単にはいかないですよね。蚊も手でたたいてしまいますし。さて、どうしたものか。今日も楽しい一日を。