聖天さまご縁日

清浄歓喜団
  久しぶりにいいお天気の京都東山です。30℃を超える暑い日になりそうです。今日は、全国和菓子協会が1979年に制定された「和菓子の日」だそうです。承和15(848)年、当時疫病が流行したことから、御神託により仁明天皇が16個の菓子や餅を神前にお供えし、疫病除け・健康・招福などを祈った「嘉祥の儀」を行い、元号を「嘉祥」に改元したことに由来するとのことです。「嘉祥菓子」という和菓子を健康と招福を祈りながら食べる風習が今もあるそうです。

 そして、聖天さまのご縁日です。聖天さまへの和菓子といえば、「清浄歓喜団」ですよね。通称「お団」とも呼ばれますが、決してどこかの団体名ではなく、“日本最古のお菓子”ともいわれている由緒あるお菓子です。

 そもそもお団は、奈良時代に中国から日本に伝わった唐菓子(からくだもの)の一つです。中に入っているこしあんにはお清めとして、ハッカ、丁子、ニッキ、白檀などの香りが混ぜ込まれています。皮の部分は胡麻油で揚げて作られているので、最初はそのお香よりも胡麻油のいい香りがします。全体は巾着の形をしていて、八葉の蓮華を表す八つの結びで閉じてあります。

 口に入れますと、一気にお香のような香りが口に広がります。あんこは和菓子らしい甘さです。ちなみにトースターなどで加熱しますと、より香りが豊かになります。あんこも柔らかくなるので、香りと味覚で絶妙に美味しく食べられます。ただ、このお団の味は、好き嫌いにわかれるような気もします。

 それからお団は、日にちが経つとたいへん固くなりますので、食べるときには歯に注意する必要があります。底の中心部分を下から押し上げると簡単に割れますからそうしてからお召し上がり下さい。

 八坂神社石段下にある亀屋清永さんでは、比叡山の阿闍梨さんから習った秘法で、毎月1日、15日を中心に調製されています。京都へ来られた時は、聖天さまへの御供物としてだけでなく、珍しいお菓子としてお土産にもいいのではないかと思いますよ。今日も楽しい一日を。