聖天さまのご縁日

雙林寺 聖天堂
 朝から快晴の京都東山です。今日も最高気温が36℃予測となっており、暑さ対策などお体にご注意ください。

 さて、今日は聖天さまのご縁日となります。聖天さまをお祀りされているお寺には、巾着袋と大根の御紋が用いられている提灯や御幕がありますが、この御紋には意味が含まれています。一つはお供え物として、もう一つは聖天さまの御本誓を表しています。

 まず、聖天さまは種々のお供え物でおもてなしさせていただく事によって、一層の御威徳を御顕わし下さいます。特に歓喜団と大根とお酒がお好みですから、数あるお供え物の中でも歓喜団と、大根を大切にしなければならないという事です。

 次に、巾着袋は、もともと砂金を入れておく袋で、財布のように財宝やお金を入れていました。つまり、この袋の中には、私達が願い求める財産、健康、名誉栄達、相愛和楽などすべてが納められているということを表しています。つまり、この袋の中から願いに応じて福分を私たちに与えてやるぞとの御本誓、御心が表されているのです。

 また大根には、滋養に富み、毒を消す作用があります。心の悩み苦しみ、不安などという心の毒や、貪瞋痴という信仰を邪魔する心の毒を消し去り、安らかな心の落ち付きを与えて下さるという事を表しています。

 このように、巾着には物質的、世間的な御利益が与えられるということと、大根には内面的に心の安心が与えられるという意味が込められているのです。

 要するに、この巾着と大根の御紋は、聖天さまへ御供養を忘れずに大切にしなければならないという事と、聖天さまは物質と精神の両面にわたって私たちをお救い下さるという御本誓を表したものですから、お寺へ参詣されてこの御紋をご覧になった時には、この意味を思い出して聖天さまからのありがたい御説法だと受け取られて、ご自分の信仰について反省すると共に御本誓の有難さを心に刻むことが大切です。今日も楽しい一日を。