ムカデ

 曇り空の京都東山です。雨が降るのか降らないのか気になるところです。さて、「むかで牘」につづいてムカデのお話をもうひとつ。

 ムカデを愛でる方はおそらく皆無に等しいと思いますが、実は毘沙門天さまの「お使い」であったりします。古くは、武田信玄などの戦国武将たちは、毘沙門天さまが武神で戦勝の神なので、熱心に信仰していました。合わせて、そのお使いのムカデは、一糸乱れず果敢に素早く前に進み、決して後ろへ退かない性質から、戦勝へ導く生き物として武具甲冑や旗指物にムカデの絵図を描いたりしたとされます。

 また、「百足」と書くように、たくさんの足のうち、たった一足でも歩調や歩く方向が違うと前に進むことに支障がでるところから、困難や問題に向かう時には、みんなが心を一つにして当たるようにとの教えであるとか、ムカデは足が多いので、おあし(銭)がたくさんついて金運を呼ぶのだとか、商人や芸人の間では「客足、出足」が増え繁盛するなどとも言われている縁起のよい生き物のようです。

 ムカデの見た目はすんなりと受け入れ難いですし、刺されると厄介ですが、毘沙門天さまのお使いで、福徳の御利益が頂戴できるとか聞きますと、なんとなく愛おしくなってきたりしませんか?んー、やっぱりしませんよね。今日も楽しい一日を。