お坊さんのお休み?

 曇り空の京都東山です。さて、お檀家さんから「ご主人が脳卒中で急逝された」との一報が入りました。お正月にはお元気にお参りに来られていたのにと、諸行無常を感じた次第です。20日が友引になるので、通夜葬儀は21日、22日の段取りとなりました。

 「友引(ともびき)」は、六曜のひとつですね。六曜(ろくよう/りくよう)とは、毎日の吉凶、縁起がいいとか悪いとかを占う方法です。先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口という「曜」が順番に巡っていて、それぞれの曜には意味があります。全ての意味は知らなくても「大安は縁起がよい」とか「仏滅は何をするにもよくない日」だけは、ご存知なのではないでしょうか。ちなみに暦には、「友引の日の午前は利益なく、夕刻吉」と書かれてあります。

 特に、冠婚葬祭の日にちを決定するときに用いられますので、一見、仏教と関係があるようにみえるのですが、実は関係はありません。といいつつ、全く関係がないわけでもありません。友引は、「友を引き込む」とか「共引き」いう語呂合わせから、友引の日にお葬式をおこなって、友もあの世へ連れられて行くと叶わないので、やらないことになっています。となりますと、自動的に友引の前日は通夜も行われないことになり、われわれは「友前(ともまえ)」などといったりしています。したがって、これらの日ばかりはお坊さんは、ゆっくりとすることができるのです。

 ところが、「友前は通夜がないから、集まって研修会をしよう」とか、友引にはお葬式が入らないから、行事とか祭事をしようということになります。多くのお坊さんが参加できるように、教区主催の催し物もこれらの日を優先して決定されています。

 そもそもお坊さんは毎日休日でありながら、毎日稼働日などと言われます。日々修行中であるためです。本来お坊さんは、商売や事業などはしない生き方をしている人のことですから、職業ではないはずです。といいつつも、実際のところ「友引」はどことなく気が緩む日ではありますね。今日も楽しい一日を。