聖天縁日

 

 曇り空の京都東山です。今日は大安にて聖天さまのご縁日となります。聖天信仰はお続けでしょうか。

 さて、一般のご家庭では聖天さまのご尊像はお祀りしないことになっています。代わりに御礼(おふだ)にします。聖天さまの御札はお寺でいただいたからといって、お仏壇で祀ることはいたしません。なぜなら、お仏壇はご先祖さまの供養を中心にするところですから、聖天さまへの祈願とは一緒にしないのです。

 したがって、専用のお宮を設けて安置いたします。大袈裟かもしれませんが、聖天さまの祭壇が必要なのですね。御札立てでもよろしいのですが、剝き出しではなく、御札サイズの箱に入れて立てるほうがよろしいと思います。また、鴨居に立てておいたり柱に貼り付けておく方もおられるかもしれませんが、お供え物を差し上げたりするいわゆるお給仕も修行のひとつですから、飾り物のようにしておくのはよくないと思います。もちろん、貼り付ける御札もあります。

 では、お宮はどこに設えるかと申しますと、私は、特別な部屋ではなく居間とかリビングルームで大丈夫だと思います。その前に、聖天さまは怖い神さまだと世間ではいいふらされていますが、決してそんなお方ではなく、わたしたちが正しい人になれるように真剣にサポートしてくださいます。なのに、私たちはその御心に気がつかず、ついつい悪さをしでかしてしまいます。なので、そこをわからせようとして、思いっきり𠮟ってくださるのです。私の小学校の先生は、非常に怖い人でしたが、様々なことを躾けられたと今になって思えます。ですから、私のように、聖天さまを怖い先生のように思うのでもよいですし、聖天さまは親分で私は子分、聖天さまは社長で私は番頭とか、いろいろなたとえでお付き合いすればよいのです。

 その他にもいいと思いますのは、お聖天さまは義理のご両親で、一緒に暮らすと考えることです。なので、家族が集まる場所に、家族としてお祀りされることがよいと思うわけです。小言を言われないように気をつかえるようになれたりもしますしね。家族の一員と思うのですから、買い物に出かけておいしそうなお菓子や果物を見つけたら、「聖天さまの分も買って帰ろう」とか、旅行に行けば、「聖天さまにもお土産を」という、そのような親切な気持ちを自然にもてるようになれるはずです。何よりも聖天さまはそのような優しい気持ちを喜ばれます。

 このように、聖天さまはいつもご家庭にいらっしゃって、出かけたときには隣で見護ってくださっているということを意識することができるようになれば、ご利益もいただきやすくなること間違いなしですよ。今日も楽しい一日を。