天台宗開宗記念日

天台宗章「三諦章」
 空は晴れています京都東山です。昨日よりも気温が低く感じられ、今も雪が残っていて、道路は凍てついています。雙林寺界隈はたいへん滑りやすくなっていますので、どうぞ、お気を付けください。といいますか、ほとんど誰もいません。

 さて、延暦25(806)年の今日1月26日、天台教学を学ぶ者(止観業)1名と、密教を学ぶ者(遮那業)1名の合計2名を年分度者(国家公認の僧侶)として認可する官符が発せられ、「日本天台宗」の始まりとなりました。つまり、平安時代は、朝廷がお坊さんを決めていたんですね。

 天台宗では、毎年1月26日を「開宗記念日」としていまして、比叡山延暦寺をはじめとして、多くの天台寺院で、報恩報謝の法要が行われます。

 ご存知の通り、日本の天台宗は、伝教大師最澄さまによって開かれた宗派です。伝教大師最澄さまは神護景雲元年(767年、異説あります)近江国滋賀郡、琵琶湖西岸の三津(現在の滋賀県坂本)で、三津首百枝(みつのおびとももえ)のご長男としてご誕生されました。幼名は広野(ひろの)と申し上げます。12歳で近江の国分寺、行表の弟子となり、宝亀11(780)年にお得度され、延暦4(785)年に奈良東大寺の戒壇院で具足戒を受けられ、国家公認の僧侶となられました。

 受戒後は3ヵ月ほどで奈良から離れ、比叡山での修行に入られます。延暦7(788)年、現在の根本中堂の基となる「一乗止観院」を創建され、自ら刻まれた薬師如来さまをご本尊とされました。そして、そのご宝前にかかげられた灯明こそが、それ以来、1200年以上もの間、一度も消えることなく輝き続けている「不滅の法灯」です。もちろん、現在も根本中堂内陣でともされ続けていますよ。

 伝教大師最澄さまは「明らけく後の 仏の御世までも 光りつたへよ 法のともしび(仏の光であり、法華経の教えを表すこの光を、末法の世を乗り越えて弥勒如来がお出ましになるまで消えることなくこの比叡山でお護りし、すべての世の中を照らすように)」との願いを込められました。この御心にお応えし、今まで数え切れないほどの多くの方々によって法華経の教えが今に受け継がれてきています。今年もあらためて、この法灯を消すことなく、伝え教えていけるように精進してまいりたいと思った次第です。今日も楽しい一日を。