サルスベリ

百日紅
 朝からいいお天気で、過ごしやすい京都東山です。今日は、「文化財保護法施行記念日」です。国宝・重要文化財等を保護するための「文化財保護法」が1950年のこの日に施行されました。1949年1月26日に法隆寺金堂が全焼したことをきっかけに、従来の「国宝保存法」「重要美術品等保存法」「史蹟名勝天然記念物保存法」がまとめられ「文化財保護法」が制定されたとのことです。

 ところで、8月29日の誕生花は百日紅だそうです。ただいま境内で咲いています。もともとは中国原産で、7〜9月頃にピンクや紫、白の花を咲かせます。ちなみに、雙林寺はピンク色ですね。また、円山公園では、紅白百日紅も見られますよ。その名の通り、「猿でも滑って落ちてしまいそうなほどツルツルした木」が名称の由来ですが、実際には猿が滑ることはなく、簡単に登ってしまうそうです。そのツルツルした樹皮は、つる植物に巻きつかれないためなのだそうです。

 百日紅の花言葉には「雄弁」「愛嬌」「不用意」「あなたを信じる」などがあります。中でも「あなたを信じる」には韓国に伝わる悲しい物語がありました。ある娘を残して、王子が「百日後には必ず戻る」と約束して旅立ちます。戻ってきた時にはすでに娘は亡くなっていました。やがて、娘の墓がある場所から木が生え、百日の間、花が咲き続け、これは王子の帰りを待ち続けながら約束を果たせなかった娘の生まれ変わりだというお話です。しかし実際には、散れば咲き散れば咲きを繰り返し、百日間咲いているかのように見えるんですね。

 あちこちのお寺に百日紅があるのは、お釈迦さま誕生に関係する無憂樹の花に似ていることから代用として植えられているためです。インドでは、マーヤ夫人が何の心配もなく安らかに出産したことから、無憂樹と名付けられたそうで、その名の通り憂いの無い木として、恋愛や結婚、出産に深くまつわるおめでたい幸福の木なのだそうです。

 ともあれ、百日紅は私たちの目を楽しませてくれます。その花言葉や由来する物語に思いを馳せて、ゆっくりと鑑賞するとしますか。今日も楽しい一日を。