精霊棚

 

我が家の精霊棚
 今日もどんよりとした京都東山です。朝から東大谷さんへ救急車がやってきて、ちょっと騒然となってました。墓参者の体調が悪くなったのでしょうか。

 さて、お盆につき連日お檀家さん宅へお参りに参上しておりますが、どちらのお宅もそれぞれの「精霊棚」を設えてご先祖さまをお迎えになっておられます。ポピュラーなのは、お仏壇前に机を置き、スーパーで販売されているお供えセットを利用するスタイルです。それをベースに、お菓子や果物、御膳、蓮の花などが供えられています。蓮の花は極楽を象徴する花ですから、仏教には欠かせませんね。また、脇には盆提灯が置かれています。で、我々はそこでお経を読むので、お盆のときの読経を「棚経」といいます。昔は精霊棚は軒先に設えてあって、順々にお坊さんが読経に回ったとか聞いたことがあります。数が多いので家の中まで入らなかったようです。

 精霊棚で目を引くのは、茄子と胡瓜で作られた馬と牛です。割りばしやおがらの足がついています。ご先祖さまが馬に乗って早くあの世からこの世へ帰ってこられるように、そして、牛に乗ってゆっくりと名残惜しそうにあの世に戻ってもらいたいという私たちの願いが込められています。

 ところで、お盆に帰省するのは、昔の「藪入り(やぶいり)」の名残です。薮入りとは、かつて商家などに住み込み奉公していた丁稚や女中などの奉公人が実家へと帰ることのできた休日のことで、旧暦の1月16日と7月16日がその日に当たっていました。戦後、労働条件が変化していき、日祝日などの定休日が定められるようになると藪入りは徐々になくなり、現在では、正月休み、盆休みとして多くの人が帰省されるようになったとのことです。

 いよいよ明日は送り火を焚いて、ご先祖さまをお送りします。地域によっては川や海に精霊流しを行うところもありますね。京都ではコロナ前と同じように五山送り火が開催されますので、多くの方が鑑賞に来られるような気がします。こうして、お盆行事が終わり、京都では、地蔵盆へと進んでいきます。今日も楽しい一日を。