お仏壇について

 どんよりとした曇り空の京都東山です。蒸し暑いです。先日お仏壇のお引越しがありました。その際は、業者に依頼されることなくご家族会員で荷造りされて運ばれたようです。もちろん、お若い方々も手伝われて、ここのお宅のお仏壇は、これからも引き継がれていくのだろうなと思いました。「お仏壇のことは、ずっと、おばあちゃんが行っていたので、よくわからないのですよ」などということにはきっとならないでしょう。

 ということで、仏壇について簡単にまとめてみました。まず仏壇は、玄関から遠い部屋に設えます。これは、出入口から遠い場所が上座という考え方によります。そして、「東向き」あるいは「南向き」に設置します。東向きなら、わたしたちは西にある極楽浄土の方向を向いて仏さまを拝むことになります。また、南向きだと「天子南面す」です。

 しかしながら、建物の都合もありますから、無理な改造などはされなくてもよいと思いますし、仏壇を置けない場合は、本棚の一画を工夫して仏壇にすることも可能です。重要なことは、「仏壇があって、拝む」ということです。

 仏壇の中はといいますと、宗派によって様々ですが、まず中央に阿弥陀如来など仏像を安置します。仏像の後ろには宗派の開祖などの御影を掲げます。天台宗では、天台大師さまと伝教大師さまです。そして、仏像の左手の前に、「〇〇家先祖代々之霊位」右手の前に「〇〇居士位」などの位牌を置きます。お供え物の基本は、仏壇を見て、左からお花と線香と蝋燭を供えます。これを三具足ともいいます。そのほかに、お水、果物、餅、ご飯、ご先祖様が好きだったものなどですが、仏壇の広さもありますので、全部でなくてもこの日はこれとこれなどとルールを決めて見栄えよくお供えしましょう。一番丁寧なのは、私たちの食事と同じく、仏さま用の食事を用意することです。

 お仏壇はいわば小さなお寺で、仏さまをお招き迎えて、私たちの円満なる人格の形成や、楽しい家族団らん、繁栄などを願うことを目的としています。もちろん、ご先祖さまもお迎えして供養を行います。仏さま、ご先祖さまがあたかもそこに生きておられるかのように、日頃起こったことを何でも報告し、時には困ったことや悩みごとを心静かに聞いていただいたりできる場所でもあります。慌ただしい毎日ですが、できれば読経し、少なくとも手を合わせて、感恩報謝の誠を捧げ、一日の平安を祈りたいものですね。今日も楽しい一日を。