一休さんのとんち話(屛風のトラ)

 どんよりと曇り空の京都東山です。時々雪がちらつく寒い朝となっています。さて、寅年ということで、あれこれと寅にまつわるお話が紹介されていますね。一休さんのとんち話がどこか懐かしいのですが、このようなお話の年賀状をいただきました。

 むかしむかし、お殿さまがとんちで評判の一休さんをお城に招きました。

「早速じゃが、その屏風のトラが夜な夜な抜け出して暴れて困る、何とかしばりあげてくれぬか」

もちろん、屏風に描かれた絵のトラが出てくるなんてことはありません。一休さんを困らせようとしたお殿さまのうそです。

「本当に、牙を剥いたすごいトラですね。それでは、しばりあげてご覧にいれますから、縄を、ご用意ください」「おおっ、やってくれるのか」「はい、もちろんですとも」

 一休さんは、縄を取り、ねじりはちまきに腕まくりをして準備にとりかかりました。そして、一休さんはお殿さまに頼みました。

「それでは、トラを屏風から追い出してください。すぐに、縛り上げてご覧にいれます」

 それを聞いた殿さまは、思わず言いました。「何を言うか!屛風に描かれたトラを、追い出せるわけがないであろう」

すると一休さんは、微笑んで言いました。

「屛風からはトラは出て来ないのですか。出てこないトラをしばる事など出来ませんよ」

それを聞いて、殿さまは思わず手を叩きました。

「さすがは一休さん、あっぱれなとんちじゃ!褒美をつかわすから、また来るがよいぞ」

 こうして一休さんはたくさんのほうびをもらって、お寺に帰りました。めでたしめでたしなのですが・・・

 令和の時代になるとそこで、お殿さまは一休さんに「VRゴーグル」を渡しました。

「一休さん、その新型メガネをかけるがよい。どうじゃ、トラが飛び出してきたであろう」

 さぁて、一休さん、ここではどう切り出すのでしょうか?今日も楽しい一日を。