道心の中に衣食あり 衣食の中に道心なし

 おおむね晴れ空の京都東山です。今日も寒いです。さて、伝教大師さまのお言葉にはこのようなお言葉もあります。「道心の中に衣食あり 衣食の中に道心なし」真剣に道を求め精進を重ねていけば、必要最小限の衣服と食べ物は自然に具わってくる、です。反対に衣服食べ物を追い求め、ぜいたく三昧の生活からは、決して道心は湧いて来ないということです。

 一般的に「衣食足り礼節を知る」と言われますので、「道心の中に衣食あり」はそれとは反対の様に思われます。しかし、衣服と食べ物が足りて生活が安定しているときは、人としての真心を持っているとしても、何らかの事情で衣服と食べ物が足らなくなってしまうと、飢えた動物的な根性になってしまうのでは何にもなりません。いつも人間らしくありたいものです。

 そのためには常日頃から、目先の利益だけを追い求めるのでなく、どんな職業であろうとも、その道に打ち込んで自分を完成しようとする真心が必要です。その心を持っていれば、生活は必ず成り立つのだと、伝教大師さまは教えられているのです。本職をいつも大切にして精進を続けていますと、名声や利益は自然に具わってくるものですし、自分自身の成長を忘れて、名誉や財産にばかりに執着していますと、何のための人生なのか、気づかずに分らないうちに終わってしまいます。

 人はパンのみに生きるにはあらず、好きこそ物の上手なれ、僧侶なら仏さまを愛するといったところでしょうか。今日も楽しい一日を。