お彼岸について

 曇り空の京都東山です。今日は、「敬老の日」ですね。年長者を大切にし、長老の知恵を借りることで、明るい暮らしができると思います。そして、「彼岸の入り」です。

 さて、「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、春と秋にはお彼岸があり、それを節目に季節の変わり目を迎えます。春秋の彼岸は、それぞれ春分の日と秋分の日をはさんでの一週間を指します。どの家庭でも、この期間にはご先祖様のお墓参りに行かれると思いますが、本来の彼岸の意味とは少し違うようです。

 彼岸は梵語の「パーラミター」に由来し、「到彼岸」すなわち彼岸に到るという意味で、お悟りを得た状態のことを言います。仏教の教えに「六波羅密」というものがあります。これは「布施」(施しをする)・「持戒」(戒律を守る)・「忍辱」(苦難に耐え忍ぶ)・「精進」(たゆまず仏道を実践する)・禅定(瞑想により精神を統一する)・「智慧」(真理を見究める智慧)の六種の行を実践することです。普段から雑務に追われ、なかなか仏さまの教えを実践できない私たちですが、せめてこの一週間は、六波羅蜜の中の一つでも実践し、仏さまのおさとりに近づくよう努力したいものです。

 また、この時期は太陽がちょうど真西に沈むので、『観無量寿経」というお経には、沈みゆく太陽を拝み、その方角にある西方極楽浄土を想いなさいと説かれています。お彼岸にお墓参りに行く習慣は、日本人の祖先崇拝と西方極楽浄土の思想が結びついて出来上がっていったものです。お墓参りをして、ご先祖様に日頃の感謝を申し上げると同時に、先ほどの六波羅蜜にも意識を向け実践していきましょう。

 本内容が掲載されている天台宗総合研究センター発行「天台宗【シリーズ年中行事】④お彼岸のしおり」をダウンロードできるようにしましたので、ご利用いただければと思います。今日も楽しい一日を。

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天台宗【シリーズ年中行事】④お彼岸のしおり