雙林寺 真葛ケ原聖天 |
さて、聖天さまをお祀りされている寺には、巾着袋と大根の御紋が用いられていますが、これには二つの意味が含まれています。一つは御供物として、もう一つは聖天さまの御本誓を表しています。
まず、聖天さまは種々のお供え物でおもてなしさせていただく事によって、一層の御威徳を御顕わし下さいます。特に歓喜団と大根とお酒がお好みで、その中でも歓喜団と、大根を大切にしなければならない事を意味しています。
次に、聖天さまの御本誓を表しているということについてです。巾着袋は、もともと砂金を入れておく袋で、財宝やお金を入れていました。つまり、この袋の中には、私達が願い求める財産、健康、名誉栄達、相愛和楽などすべてが納められています。「願に応じて之を施さん」との御本誓から、私たちにこの袋の中の福分を与えてやるぞとの御心が表されているのです。また大根は、滋養に富み、毒を消す作用があります。心の悩み苦しみ、不安などという心の毒や、貪瞋痴という信仰を邪魔する心の毒を消し去り、安らかな心の落ち付きを与えて下さる事を表しています。このように、巾着には物質的、世間的な御利益が与えられるということ、大根には内面的な心の安心が与えられるという意味が込められているのです。
要するに、この御紋は、聖天さまへ御供養を大切にしなければならないという事と、聖天さまは物質、精神の両面にわたってお救い下さる御本誓を表したものですから、参詣してこの御紋を見た時は、聖天さまからの御説法だと受け取って、自分の信仰を反省すると共に御本誓の有難さを心に刻むことが大切です。今日も楽しい一日を。