代理参拝の朱印について

 今日は、じめっと暑い青空の京都東山です。さて、昨今、朱印ブームの影響で代理参拝なる業者が現れているようです。「寺社へ行けないあなたに代わって、お参りして朱印をいただいてきます」です。

 雙林寺でも朱印帳を複数出される時が稀にあります。その時は釈然としない気持ちで対応するのですが、やはり、遠方からスケジュールを調整してはるばる来られる方、重ね印で真っ赤にするんだと何度も参拝されている方、車いすでお越しの方など、様々な方にお会いしていますと、他人にお金を払って代わりに朱印をもらってきてもらうというのはいかがなものかと思うのです。極端ですが、1人の方から「100枚書いてください、お金は払います」と依頼されれば、書かなければいけないのかという、そういうものなのでしょうか。また、参拝をしてもいないのに、「行って来ました」と嘘をつく人が出てくるかもしれません。

 確かに、遠方の寺社、芸術的、限定などの朱印を手に入れたいという気持ちはわからないでもありません。しかし、朱印は、「参拝の証」として渡されるものですから「参拝」というご本人の宗教行為がないと、発行されないものなのです。

 したがって、お参りされた方お一人につき朱印1枚の発行となりますことと、ご参拝されていないご家族、ご友人、お知り合いの方などの分をお渡しすることはできないということをご理解ください。しかしながら、ご病気など、みなさまのご事情もおありでしょうから、雙林寺ではお一人で複数の朱印をお求めの場合は、「代理参拝」と記載させていただくことにいたします。どうか、ご了承お願いします。

 ただし、朱印を商品のように販売している寺社や、このようなルールを設けていないところもあるようなので、全ての寺社に言えることではありませんが、朱印本来の意味をわきまえて、参拝マナーの一つとしていただきたいと思います。普段から「欲しい、欲しい」という気持ちをコントロールする仏教修行をしていれば、このような問題は起こらないように思うのですけれども。今日も楽しい一日を。