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しょうぐうさん |
ところで、「感謝」という言葉は「感恩報謝」の略といわれているそうです。ネット検索しますと、「感恩報謝」は、受けた恩に感謝し、それに相応しい行動で報いること。また、「感謝」は、他者から受けた恩恵や好意に対して、その価値を認識し、心からありがたい気持ちを抱くこと、などと説明されています。
「心地観経」では、4つの恩について説かれています。先ず第一に、「父母の恩」。文字通り生まれたときから、大人になってからもいつも見守っていてくれる両親への感謝です。次に「衆生の恩」。衆生とは、生命のあるすべての生き物のことです。人だけではなく、食べ物も元々は生き物ですよね。三つ目に、「国王の恩」。日本には国王はいませんが、国政を担い私たちが安心して暮らせる国作りしてくださる方々です。最後は「三宝の恩」。三宝とは、仏・法(=仏さまの教え)・僧(=尊き存在とその教え、そしてその教えを信じる同志)のことです。
このことを常に意識して暮らすということは、難しいとも思いますが、伝教大師さまは、人間として一生をうけることは、太平洋かどこかの海に沈んでいる1本の針を道具や機器などを使わないで探し出すくらい得難いことだと仰っています。つまり、人間に生まれてくること自体が超奇跡なのです。そして、毎日暮らせていることは自分一人だけの力だけではなく、多くの恩があってからこそです。当たり前になっていて、気づきにくい恩も見つけて、感謝してその恩に報いることが大切です。
天台宗でいうところの、「一隅を照らし、能く行い能く言い、己を忘れて他を利する」は、感謝の心が基本にある恩に報いる行いなのだろうと思います。今日も楽しい一日を。