児の飴食ひたること

 

しょうぐうさん
 曇り空の京都東山です。ところで、「児の飴食ひたること」というお話をご存知でしょうか。「沙石集」という仏教説話集にでてきます。

 あるお寺に欲張りな和尚がいました。桶の中に飴を入れて棚に置いて大切に保管していて、時折一人で舐めて食べていました。小僧に食べさせることはなく、「これを食えば死ぬぞ」と言っていました。しかし、小僧は食べたい食べたいと思っていました。

 ある日和尚が外出した時に、小僧は棚から桶を取って食べることにしましたが、桶を取ろうとしたときにこぼしてしまいました。飴が頭や着物に付いてベトベトです。そして、和尚が愛用している茶碗を石にぶつけて割りました。

 和尚が帰ってくると、小僧はさめざめと泣いています。「なぜ泣いているのだ」と和尚が聞くと、「和尚様の大事にしている茶碗を割ってしまいました。どんなに叱られるだろうかと思うと情けなくなって、このまま生きていても仕方ないと考えて、「食べると死ぬぞ」といわれていた桶の中の物を、二口舐めても、三口舐めても死ねませんでした。そこで頭にも着物にも付けてみたのですがそれでも、まだ死ねません」と言っています。

 というお話です。欲張りしていると飴は食べられ、水瓶は割られて得るところは何もないということです。普段から、飴を分けていれば、こんなことにはならなかったでしょうに、小僧さんは始めから和尚の嘘を見抜いていて、泣いていたのもウソ泣きかもしれません。たいそう素晴らしい知恵の持ち主ですね。今日も楽しい一日を。