比叡山の春

 
比叡山時報
 晴れ空の京都東山です。今日は、「春の土用入り」となります。「今夜はウナギを食べよう」とお大黒はワーワー言うてますけど、夏じゃあるまいし、単に食べたいだけなのでしょう(^^)

 さて、「比叡山時報」が届きまして、修行について書かれてあり、その頃を思い出しています。抜粋しますと、

 【春の訪れに先んじて比叡山で開かれる修行の道場が「比叡山行院」です。天台宗の初心の僧侶は約二ヶ月に亘り比叡山に籠り、読経の仕方や作法、教学、坐禅止観、密教の基礎など、天台宗僧侶としての基本を学び修めなければなりません。毎年男女問わず多くの修行僧が入行しますが、慣れない着物を着用し裸足に正座。授業のノートは自身の手書き。スマホもテレビも新聞もなく、SNSもAIもない。外部との通信は手紙のみ。食事はもちろん肉も魚も使わない精進料理。過密なスケジュールの合間は掃除や自習に費やし、息つく暇もありません。下界とは全く違う環境の中で過ごすということだけでも、便利に慣れ切った身には大変なことでしょう。そのようなお山での生活の中から僧侶としての振舞いやものの見方を学び、祖師の御心を受け継ぐ「覚悟」を自ら育てます。

 また有名な「回峰行」も三月の不動明王のご縁日二十八日未明から始まります。清浄を表す真白な浄衣をまとった行者の姿は、峰に羽ばたく白鷺に譬えられたりもしますが、なごり雪が舞うこともあるこの季節、見た目ほど優雅なものではありません。白鷺のような軽やかさと力強さはむしろその心の内にこそ秘めているようです。

 しばしば過酷な印象をもたれる比叡山の修行ですが、受け継がれてきたのは身体的な厳しさばかりではなく、一人ひとりの真の幸せを想い一隅を照らす人を育てたいと願われた伝教大師の御心です。~おのずから住めば持戒のこの山は まことなるかな 依身より依処~

 持戒の山比叡山で今年もまた、行者の決意と祈りが繋がり紡がれていきます。】

 行院卒院後は数回の儀式を受けに比叡山に行きますが、一通りの儀式が終わると案外登叡しないものです。初心を忘れないようにするためにも、久しぶりに参拝に行こうと思った次第です。今日も楽しい一日を。