勤労感謝の日

しょうぐうさん
 明け方から雨が降り出しました京都東山です。今日は「勤労感謝の日」ですね。働いている人に感謝する日だ思っていましたら、ちょっと違っていました。国民の祝日に関する法律では、「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう日」と制定されています。

 もともと11月23日は「新嘗祭(にいなめさい)」という名前の祭日だったそうです。伊勢神宮のHPによりますと、【新嘗祭とは、「しんじょうさい」ともいい、「新」は新穀を「嘗」はお召し上がりいただくことを意味し、収穫された新穀を神に奉り、その恵みに感謝し、国家安泰、国民の繁栄をお祈りします。現在、このお祭りは毎年11月23日に宮中を始め、日本全国の神社で行われていますが、特に宮中では天皇陛下が自らお育てになった新穀を奉るとともに、御親らもその新穀をお召し上がりになります。】いわゆる、秋の収穫祭といったところでしょうか。

 ところで、話は少しずれますが、天台宗では食前・食後に次のような言葉を唱えます。

●食前のことば

「われ今幸いに、仏祖の加護と衆生の恩恵によって、この清き食を受く。つつんで食の来由をたずねて、味の濃淡を問わず。その功徳を念じて、品の多少をえらばじ。いただきます」

●食後のことば

「われ今、この清き食を終りて、心ゆたかに力身に充つ。願わくは、この身心を捧げて己が業にいそしみ、誓って四恩に報い奉らん。ごちそうさまでした」

 私が特に大切にしているところは「食の来由(らいゆ)」で、目の前の料理がどうやってここに存在しているのかを考えようというところです。お百姓さんが長い時間かけて育てた農作物を収穫し、それを運送屋が運んで、お店の人が売り、そこへ家族が買いに行き、料理する…。そもそも自然からの恵みがないと収穫できないですよね。

 このように想像して考えますと、どれだけの人と思いが関わって自分のための食事が成り立っているのかということが分かります。単にお金を稼ぐことが勤労ではないはずです。今日は、いろいろな人がそれぞれの場所、立場で役割をはたすことを大切にし、その結果成し遂げられたことを祝って、みんなでお互いに感謝しあう日にしたいですね。

 ちなみに、天台宗では食事作法の動画とお子様向けにこのことをまとめた絵本が制作されていますので、よろしければご覧ください。今日も楽しい一日を。


■食事作法の動画

https://youtube.com/watch?v=6FK2L-6F9nc&feature=share

おしえてしょうぐうさん ~ごはんのはなし~