常不軽菩薩さま

 

しょうぐうさん
 どんより曇り空の京都東山です。さて円山音楽堂では何やら催し物があるようです。さて、昨日にひきつづき、合掌についてです。

 法華経に、常不軽菩薩という方のことが説かれています。このお方は、会う人ごとに、「あなたは仏さまと同じように尊い方だ」といっては合掌礼拝されていました。会う方会う方すべての人にされるものですから、人によっては気持ち悪がられたり、「何だひとをバカにしているのか」などと受け止められることもあり、木や石をぶつけられることもありました。それでも常不軽菩薩さまは礼拝をやめることなく、ただ手を合わせて人々を拝むことを続けられました。そしてついに仏さまと同じ悟りの境地に入ることができたということです。

 合掌は手と手を合わせるだけの簡単なしぐさで一番相手を敬う、尊い姿ですね。私は、手を合わせると、殺したり、盗んだりと悪い事が出来ませんから、このことも表しているのではないかと考えています。右手は清浄の手で仏さまをあらわし、左手は不浄の手で私たち凡夫をあらわすとされています。仏さまからみれば、私たちの毎日は、自分本位のわがまま勝手な生活でしょうけれども、どんな人にも、心の奥底には仏さまと同じ清い心(仏心)を持っていると仏さまはお認めです。つまり、私たちのこころはどちらも持ち合わせているということです。

 どうぞ、日々合掌してその手の中に仏さまにお入りいただき、相手を敬って自分勝手な心を減らして仏心を増やす、簡単な動作でありますけれども、考えますと奥深いしぐさですね。密教では、十二種類もありますよ。今日も楽しい一日を。