お薬師さまご縁日です

 

 晴れ空の京都東山です。今日は、薬師如来さまのご縁日ですね。伝教大師さまは、延暦寺根本中堂に、国家の平安と国民の幸福のために大師御作の薬師如来像をご本尊として奉安されました。このことから、全国の天台宗寺院では、薬師如来像をご本尊としてお祀りされているところが数多くあります。

 雙林寺の薬師如来坐像も大師御作です(重要文化財)。高さおよそ85センチメートルの一木造りで、実に堂々としたお像です。

 そもそも薬師如来さまは、一般の人から病気平癒にご利益を頂戴できる仏さまとして「おやくっさん」と呼ばれ親しまれています。正式には、「薬師瑠璃光如来」と申しまして、遥か東の彼方に瑠璃で出来ている浄瑠璃世界の教主をされているため、そのように呼ばれています。ちなみに、その世界を歌ったものが昔から親しまれている歌曲「浄瑠璃」なのだそうです。

 そのお姿は、右手は、私たちに手をかざしたような施無畏印、左手には薬壷をお持ちになっておられます。薬壷とは、文字通り薬の壷のことで、その中には、からだの病気はもちろんのこと、心の病、社会の病など、すべてを治してしまうという何にでも効果があるという妙薬が入っています。このお薬で私たちの毎日の暮らしの中で発生する悩みや苦しみを解消して下さいます。

 このように薬師如来さまが広く人びとから信仰され、親しまれてきた理由のひとつに、病気平癒、無病息災などの現世利益があります。しかし、薬師如来さまに病気を治してもらおうと願うのはもちろんですが、病気でなくても、病気の方に何かして差し上げられないかと考えたり、自分の健康について考えたりする拝み方もよろしいかと思います。健康ならば、世のため人のためになることを行えますし、仏道を乗じて、わが国土を浄瑠璃浄土に変えていくことにつなげていけると思うのですよ。今日も楽しい一日を。