お屠蘇

 晴れ空の京都東山です。今日も寒いです。さて、お正月には、邪気を払うとか長寿などを祈っていただくお屠蘇は、お酒やみりんに生薬を一晩浸け込んだ薬草酒のことですね。

 「屠蘇」の由来のひとつに、唐の初めに活躍した医者であり仙人だった孫思邈(そんしばく)のお話がありました。

 思邈は、大晦日の日暮れ頃から何種類かの薬草を袋に入れて井戸に吊るし、元日の朝にこの袋に酒を注いで飲んでいました。それを見ていた村人たちは、思邈がいつも元気で若々しいのはあの酒のせいではないかと噂をするようになります。これが正月に薬酒を飲む習慣になったということです。この仙人の住まいを「屠蘇庵」といい、それにちなんで、お酒に入れる薬草を「屠蘇散」と呼ぶようになったそうです。日本には平安時代に伝わり、嵯峨天皇の頃に宮中の正月行事として始められ、江戸時代になって一般に広まったとのことです。

 効能としては、胃腸の働きを盛んにし、風邪をひかないようにするほか、酒やみりんにはブドウ糖や必須アミノ酸、ビタミン類が含まれていますし、アルコールは血行を促進させます。

 おすすめしたいのは、お屠蘇に使うお酒とみりんは良質なものを選ぶととてもおいしく作ることができます。屠蘇散をお酒に一晩浸けた後に、みりんを入れて、好みの味わいに調整することです。我が家は、昔ながらの製法で作られる本みりん角谷文治郎商店の三州三河みりんを使っていますが、よろしければお試しになってみてください。

 しかし、「お屠蘇」に「七草粥」と、このような昔ながらの風習は、受け継ぎ、引き継ぎたいものですね。今日も楽しい一日を。

■昔ながらの製法で作られる本みりん↓↓

角谷文治郎商店 有機三州味醂