カエル

本堂前のカエル
 雲が多い京都東山です。本堂前の庭にはカエルの石像が置いてあるのですが、「仏教と関係があるのですか?」と尋ねられることも稀にあります。浄土宗のホームページには、ジャータカの「カエルの裁き」について紹介されています。

 その他にも、検索してみますと、カエルは縁起物としてわたしたちの生活に取り入れられています。その意味合いは、主にカエルの生態や名前の語呂合わせに由来しています。非常に多岐にわたる幸運の象徴とされています。

<語呂合わせに由来する縁起>

  • 無事に帰る:旅行や出張などから安全に帰ってくる、あるいは大切な人が無事に帰宅するという願いを込めて。
  • 福帰る:福が自分の元に戻ってくる、幸運が舞い込むという意味。
  • お金が帰る(返る)」:使ったお金が戻ってくる、金運アップや財運向上を願う意味。特に「がま口財布」は、ガマガエルの口に似ていることから、お金が返ってくる縁起物として親しまれています。
  • 若返る:健康や美容、長寿の願いが込められています。
  • 変える:現状を良い方向に変える、困難を乗り越えて状況を好転させるという意味。

<生態的特徴による縁起>

  • 前向きにしか跳ばない:カエルは後ろに下がらず、常に前へと跳び進むことから、仕事運や出世、開運、前進の象徴とされます。
  • 多産:一度にたくさんの卵を産むことから、子宝や子孫繁栄、豊穣の象徴としても重宝されます。
  • 鳴き声:カエルの鳴き声が遠くまで届くことから、「願いが届く」「心願成就」「良縁」といった意味合いを持つこともあります。
  • 雨をもたらす:古くからカエルは恵みの雨をもたらす神の使いとされ、豊作を願う存在として崇められてきました。

<神話・信仰における縁起>

  • 神の使い:古事記にはヒキガエルの神様「多邇具久(タニグク)」が登場し、知恵の神様である久延毘古(クエビコ)の相棒とされています。また、道案内の神様である猿田彦大神の使いとも言われ、幸運を運ぶ存在として信じられてきました。
  • 古代からの霊力:奈良県纒向(まきむく)遺跡からカエルの骨が出土するなど、古代からカエルが祭祀に用いられ、霊力のある生き物と見なされていたことがわかっています。不死性や豊穣の象徴でもありました。

 このようにたくさんのいわれがありました。カエルの置物、キーホルダー、財布など、様々な縁起物がつくられています。特に、玄関にカエルの置物を飾ると、「無事に帰る」に通じるとして交通安全のお守りになったり、金運アップのアイテムとして用いられたりしているようですよ。カエルを見たときに一番に思い浮かぶ縁起はどれでしょうか。今日も楽しい一日を。