御修法

根本中堂
 どんより曇り空の京都東山です。毎年4月4日から7日間21箇座にわたって、比叡山延暦寺根本中堂において「御修法(みしほ)大法」が厳修されます。声明が唱えられる中、修法されるとても厳かで重々しい法儀です。もともとは、823(弘仁14)年、第2世天台座主であった円澄和尚が伝教大師の命によって桓武天皇のために宮中で秘法を修したのが始まりです。

 御修法大法は、延暦寺の年中行事のなかでも最も重要な法儀で、古来の伝統に従って厳修される天台密教最高の秘法です。根本中堂内には、大壇、護摩壇、聖天壇、十二天壇の四段壇が設えられます。この特別に設営された内道場に、国家・国民の象徴である天皇陛下の御衣(ぎょえ)をお形代としてお預かりして、奉安し、天台座主猊下を始め、各門跡門主や天台宗内から特に選抜された17名の高僧によって「玉体安穏」「天下泰平」「万民豊楽」等が祈願されます。

 この大法には、

  • 熾盛光法(しじょうこうほう)
  • 七仏薬師法(しちぶつやくしほう)
  • 普賢延命法(ふげんえんめいほう)
  • 鎮将夜叉法(ちんじょうやしゃほう)

 以上の四法があり、これらが毎年順次に奉修されます。今年は、「七仏薬師法」です。

 またこの他に、安鎮家国法(あんちんかこくほう)が、御修法大法復興1年目と慈恵大師一千年御遠忌の1984(昭和59)年に奉修されており、合わせて「五箇の大法」と呼ばれています。

 このような法儀に出仕される高僧は、お年をお召しになった住職もおられ、小僧さんが身の回りのお世話をします。住職と同じく延暦寺会館に泊まりがけです。腰に手を当てて歩行のサポートをしたり、七條袈裟など法衣の着付けのお手伝い、荷物持ちにおつかいなど様々なことをします。

 修法中は、根本中堂の裏側で住職がお出ましになるのをじっと待っています。比叡山は京都市内に比べて約5度位気温が低く、根本中堂裏は日当たりが悪いので、かなり寒いのですよ。また、お食事中は廊下で、お勤め以外のときは、控室の前で、じっと待機しています。そして、予定を何度も確認して、支障のないように人知れず食事をして、休憩をします。とにかく、小僧さんは、目配り気配りができて元気よく走り回る人たちです。今日も楽しい一日を。