持戒

 

 どんよりとした曇り空の京都東山です。小雨が降ったりやんだりです。さて、六波羅蜜の2番目は 「持戒(じかい)」です。持戒とは、何々してはいけないというルールです。戒を持(たも)つ、とか、戒律を保つなどといいます。そしてそれは、罰せられるから守るのではなく、自分から自発的に守っていくというルールです。
 五戒は有名ですが、例えば、他人ものを盗まないことを持戒するのであれば、まずは盗もうという気持ちになったとき、その気持ち抑えて盗まないようにするのですが、どんな状況であっても、そもそも、盗もうという気持ちが起こらないような平常心でありたいものです。

 仏教の最も大事なところは、七仏通戒偈に説かれる「諸悪莫作、衆善奉行」です。 悪いことをしない、よいことをするという意味ですが、これが持戒の基本です。簡単な言葉ですけれども、なかなか奥が深く、悪いこととはどんなことなのか、とか、なぜ悪いことをしてしまうのか、とか、よいこととはどんなことなのか、とか、なぜよいことをしないのか、などといろいろ考えだすと止まらなくなります。

 ところで、私たちは警察に捕まらないものの、わかってはいるけれど、ちょっとした悪いことはいろいろとやってしまっているのではないでしょうか。何かしら仕出かしてしまったら、そんなときは懺悔です。仏教では「さんげ」です。読経のときは懺悔文ですね。仏さまにこんなことを仕出かしてしまいました、ごめんなさい、反省しましたから許してくださいと祈ります。仏さまはきっと許してくださるのでしょうけれども、またやってしまいます。そうするとまた懺悔です。このように私たちはおバカなので、きっと、この繰り返しなのでしょうけれども、持戒と懴悔をすることでいつか悪いことをやめられるはずです。今日も楽しい一日を。