お正月のしおり

 

しょうぐうさん
 曇り空の京都東山です。今日は、天台宗総合研究センター発行のリーフレット『お正月のしおり』(シリーズ年中行事②)から転載します。【~修正会について~ 修正会は、正月に修する法会の意味で、旧年の罪過を懺悔し、新年の平安、五穀豊穣、万民豊楽を祈る法要です。懺悔するのは、私たちそれぞれの一年の生活を見つめ直し、新年を新たな気持ちで迎えるためです。そして、この懺悔の功徳によってすべての人々が、大自然の恩恵をいただきながら、健康で心豊かな一年となるように祈念します。

 比叡山延暦寺では大晦日から三箇日にかけて、修正会が営まれ、新たな気持ちで新年の正月を迎えようとする大勢の参拝者で賑わいます。

 大晦日の夜、延暦寺根本中堂で奉修される修正会では、読経のなか、心静かに一年を反省するとともに、無事に過ごせたことに感謝の気持ちを捧げます。続いて、根本中堂前広場では追儺式が行われ、貪(むさぼり)・瞋(いかり)・癡(おろかさ)という、人の心に潜む三つの鬼(三毒という)が登場します。これらの鬼たちは欲望に揺れ動く人の心に見立てた広場を所狭しと暴れまわります。しかし、錫杖師の法力によって調伏、改心させられます。

 そして、大講堂前の鐘楼では除夜の鐘がつかれ、山内に響く鐘の音とともに新年を迎えます。除夜とは「夜を除く」と書きますが、夜とは闇のことであり、煩悩のことでもあります。百八つの鐘をつくのは、私たちの持つ百八煩悩の数を表し、一年間に犯した過ちを反省し、心の垢を洗い落とすためです。この懺悔の心と鐘の音によって、むさぼりや怒りの炎を消し、身も心も清らかになって新年を迎えます。

 私たちもまた、年が明け、お正月(主に元旦から七日間)には寺院(菩提寺)や神社に初詣して、新年一年間の無事平安を祈願しましょう。そして、家のお仏壇へのお参りや、お墓参りをしてご先祖様へ新年のご挨拶をするのも大切なことです。

 迷いの世界の中で日々過ごしている私たちは、気付かぬうちに多くの過ちや罪を犯しています。しかしながら、あらゆる罪は霜や露のように、悟りの智慧によって消し去ることができます。

 今こそ仏の世界に心を運び、眼耳鼻舌身意の六根で犯した罪をすべて懺悔し、発心するよう願いをこめましょう。新しい年を迎える時こそ、そのような機会としたいものです。】

 今日も楽しい一日を。

■「お正月のしおり」は、こちらからダウンロードできます → syougatsu.pdf