屠蘇

 

我が家はこんな感じ
 朝からよく晴れています京都東山です。今日は大安にて、「角大師」「おみくじ」で有名な「元三大師さま」の御縁日です。今年も疫病退散の祈願を続けてまいりたいと思います。

 さて、お正月には「おせち」とともに「お屠蘇」も、欠かせないものと思いますが、みなさまのお宅でもご用意されていますでしょうか。薬草独特の香り高い祝酒のことで、体を内側から健康にしてくれる縁起の良いお酒です。「屠(ほふ)り、蘇(よみがえ)る」という名前の通り、邪気を屠り(祓い)、魂を蘇らせるという意味があるそうです。無病息災・健康長寿・魔除け・厄除けなどの祈りを込めて、古くから受け継がれています。嵯峨天皇の弘仁年間(約1200年前)に唐の蘇明と言う人が、唐からの使者として日本に来たとき、絹の袋に入れた屠蘇散と称する薬を献上しました。天皇は元旦より三が日、清涼殿にて四方拝の儀式の勤められた後、御神酒に屠蘇散を浸して用いられたのが始まりと言われています。

 作り方は簡単です。大晦日の夜から一晩、屠蘇散(5から10種類の薬草)を清酒に漬け込みます。そしてお好みでみりんを加えて出来上がりです。元日の午前中、おせちなどのご馳走を食べる前に飲むのがならわしです。屠蘇散は、漢方薬局などで手に入ります。ティーバックになっていますので、浸けておくだけです。屠蘇散には、山椒(サンショウ)・白朮(ビャクジュツ)・桔梗(キキョウ)・陳皮(チンピ)・八角(ハッカク)・桂皮(ケイヒ)・防風(ボウフウ)丁子(ちょうじ)などが調合されています。それぞれに胃を整えたり、解熱・鎮痛・抗菌作用や血行促進などの効果があるとされています。

 家族揃っていただくときは、新年のお祝いを交わした後、若者の生気を年配者に分け与えるという意味で、年少者から年長者の順に回し飲みします。厄年に当たる人がいる場合は、厄祓いの力を家族から分けてもらうために最後に飲みます。また、来客者にも先ずお屠蘇を振舞います。子供のころ「これは薬だから飲んでみる?」と両親からすすめられ、恐る恐るなめるようにしてわずかに飲んで、なんとも独特な味だと思いながらも、みりんの甘さが心地よかったことを思い出します。このようにいろいろな意味が分かってきた今、日本の文化に触れながら、神仏に感謝して暮らしていきたいなあと思うお正月です。今日も楽しい一日を。


■我が家はこのみりんでお屠蘇を作っています↓↓

角谷文治郎商店 有機三州味醂