塔婆

 今日は朝から晴れ空で、暑くなりそうな気配の京都東山です。さて、法事に伴って板塔婆の準備をしました。そもそも塔婆は、お釈迦さまのご遺骨を納めたドーム形の仏塔「ストゥーパ」に由来します。お釈迦さまがお亡くなりになった後、人々がこの塔の前に集まり、礼拝し、お釈迦さまを供養しました。そして、その仏塔は人々の信仰の拠り所となり、いつしか仏塔そのものがお釈迦さまだと考えられるようになります。

 その後、仏塔が中国や日本へ伝わると、ドーム型から三重塔・五重塔などの形状に変化していき、様々な塔が建立されるようになります。そして、石などで造られる五輪塔になり、木製で四角柱の角塔婆、さらには板状の板塔婆、小型の水塔婆へと誰もが建てられるように変化していったのです。

 塔婆には宇宙やあらゆる世界を構成しているとする地・水・火・風・空の五大の梵字が書かれています。つまり、塔婆を建てるということは、仏像を造立するに等しい行為なのです。

 このように、法事にご先祖さまのお戒名を記した塔婆をお墓に建立することは、無量の福徳を積むことになるのです。亡き人からのご恩に報い、感謝の心を持つことが、追善供養になります。亡きご家族、ご先祖さまが仏さまの国で安らかに過ごせるように、そして今を生きる私たちを見守っていただくために、塔婆を建立しましょう。

 ちなみに、塔婆を立てておく期間は特に決まっていないので、古くなればお寺でお焚き上げしてもらったり、霊園の規則に則って管理事務所に処分をお願いすればよろしいかと思います。

わずか経木の一枚も、八苦の池の府となり、ささぐる塔婆の一本は、三途の川の橋となる。仏にたむくる善の網、未来末世の導きぞと、ここに回向し奉るともがらは、必ず三悪道の苦をまぬがる、まして造立の信心の施主においておや、必ず現世安穏、後生善処うたがいなからんと。今日も楽しい一日を。