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| 帽子 |
さて、今月は衣替えの月になっていますので、押入れをごそごそとやっております。シースルーな夏の法衣から分厚い冬衣へと入れ替えです。天台宗では、本山とは若干の違いがありますが、夏衣は6月1日から10月14日まで、冬衣は10月15日から5月末日までとなっています。
ちなみに法衣の洗濯は、キレイな折り目をつけてもらうためにも専門の業者に依頼します。とかく、法衣は畳み方があって、折り目が多くて丁寧に仕舞うのは一苦労なのですよね。中でも袴の紐を組むことがいまだに苦手な私です。
ところで、我々の冬装束のひとつに「帽子」があります。キャップやハットではなく、お坊さんが首に掛けているマフラーのような白い布のことです。これは、直接首に触れるものなので、そこそこ汚れるんですよ。
もともと、天台大師さまが大斎会の折、煬帝より敬老防寒のために煬帝の衣の片袖(縹色=明るい薄水色だったらしい)を自ら下賜されたという故事があり、伝教大師さまも桓武天皇より賜わったと伝えられています。何と、衣の袖だったのですね。しかもその場で、「寒かろう」などと仰って、むしり取って渡されたのでしょうか?
現在では白羽二重を用いて、袖型に模して、二幅の重ねの環状に作られています。縹色ではなく白色となっています。そしてこれは誰もが着用できるものではなく、延暦寺で執行される「法華大会広学竪義」を遂業しないと着用が許されないことになっています。
ちなみに、天台大師さま、伝教大師さまの御尊像を拝みますと、帽子を頭から被られていることがわかります。このような着用方法は、探題帽と呼ばれるもので、帽子の約2倍の丈があり、已講、探題という職位に着かないと頭から着用してはいけないことになっています。さらに、探題は耳を覆いますが、已講は耳を覆わないことになっており、着用方法にも違いがあります。
ということで、帽子の写真を撮ってみましたが、何かの洗濯物のようにしか見えないので、大正大学の法衣の記事を、ご参考になさってみてください。今日も楽しい一日を。

