曇り空の京都東山です。いよいよ大晦日ですね!今日は、新月と己巳の日が重なる縁起の良い大晦日となります。満月或いは新月の日は所願が成就しやすいとされており、また、己巳は、弁才天さまの大縁日です。来年は巳年ですから、己巳の日にはお力を頂戴できますようにお参りしましょう。
さて、今夜は除夜の鐘ですね。悲しいかな雙林寺には釣り鐘はありませんので、周辺寺院の鐘の音で年越しをしています。知恩院さんのようなデカい鐘に、青蓮院さんのようないい音色がする鐘、方広寺さんのような意味深ないわれがある鐘など、いろいろありますよ。
鐘は「梵鐘(ぼんしょう)」ともいい、もともとは人を集めるための合図や時刻を告知するために打ち鳴らされていました。「梵」は仏事に関わるものの尊称で、清浄、神聖という意味があります。一般的には「釣り鐘」と呼ばれ親しまれています。
ちなみに、梵鐘を撞く木のことを「撞木(しゅもく)」と呼びますが、撞木にはよく枯らした重い木が良いとされています。樫や欅では堅すぎで、脂身の松が良く、大きさは梵鐘の口径の四分の一から五分の一の太さで、口径の二倍半以上の長さが最良なのだそうです。
除夜の鐘は108回撞きますが、これは煩悩の数とされていて、鐘の音で煩悩を除去して新年を迎えるという意味が込められているということは有名ですよね。多くの人が訪れる寺院では、人出に応じて108回以上の数を撞くところもあるようですが、ただ、この108回も諸説あるようで、人間の煩悩の数という説や四苦八苦説があります。例えば、しく(4×9=36)と、はっく(8×9=72)を足すと、108になるということです。
このほかにも陰陽道から生まれた概念で、「鬼門封じ」ではないかとも言われているようです。丑寅の方角を鬼門といって、鬼が入ってくる方角といいますが、時刻や月を表すこともあります。月に当てはめますと12月が丑で1月が寅になるため、大晦日から新年に変わる瞬間に鬼が入り込まないようにと梵鐘を撞くようになったとも言われているそうです。延暦寺では、毎年「鬼追式」が行われ、煩悩にも見立てた鬼を追っ払っていますよね。
ということで、除夜の鐘は仏教に由来しているものの、一年の区切りをつけ、新たな気持ちにさせてくれる新年を迎えるための大切な日本の行事となっています。今日も楽しい一日を。