聖天さまご縁日

清浄歓喜団
 曇り空の京都東山です。今日は、父の日ですね。毎日見返りを求めず働いておられるお父さんを囲んで感謝の気持ちを伝えましょう。

 そして、聖天さまのご縁日にて、和菓子の日となります。848(承和15・嘉祥元)年の夏、仁明天皇が御神託に基づいて、6月16日に16の数にちなんだ菓子、餅などを神前に供えて、疫病を除け健康招福を祈誓し、「嘉祥」と改元したという古例にちなむということです。

 聖天さまは「清浄歓喜団」がお好みとされています。「お団」とも呼ばれていますが、決してどこかの団体名ではなく、“日本最古のお菓子”ともいわれている由緒あるお菓子です。

 そもそもお団は、奈良時代に中国から日本に伝わった唐菓子(からくだもの)の一つです。中に入っているこしあんにはお清めとして、ハッカ、丁子、ニッキ、白檀などの香りが混ぜ込まれています。皮の部分は胡麻油で揚げて作られているので、そのお香よりも胡麻油のいい香りがします。全体は巾着の形をしていて、八葉の蓮華を表す八つの結びで閉じてあります。

 口に入れますと、一気にお香のような香りが口に広がります。あんこは和菓子らしい甘さです。ちなみにオーブントースターなどで加熱しますと、より香りが豊かになります。あんこも柔らかくなるので、香りと味覚で絶妙に美味しく食べられます。ただ、このお団の味は、好き嫌いにわかれるような気もします。

 それからお団は、日にちが経つとたいへん固くなりますので、食べるときは歯に注意する必要があります。底の中心部分を下から押し上げると簡単に割れますからそうしてからお召し上がり下さい。

 八坂神社石段下にある亀屋清永さんでは、比叡山の阿闍梨さんから習った秘法で、毎月一日、十五日を中心に調製されています。京都へ来られた時は、聖天さまへの御供物としてだけでなく、珍しいお菓子としてお土産にもいいのではないかと思いますけど、昨今の物価上昇で、高価になりましたよ。今日も楽しい一日を。