お薬師さま縁日

 

薬師如来薬壺(雙林寺蔵)
 曇り空の京都東山です。今日は新月ですね。満月の日、あるいは新月の日には所願が成就しやすいと説かれています。そして、毎月8日は、お薬師さまの縁日となります。

 延暦寺で行われた今年の御修法(みしほ)は、七仏薬師大法でした。七仏薬師大法とは、「薬師瑠璃光如来本願功徳経」「薬師瑠璃光七仏本願功徳経」などに基づくもので、薬師如来のほか、善名称吉祥王如来(ぜんみょうしょうきちじょうおうにょらい)、宝月智厳光音自在王如来(ほうげつちごんこうおんじざいおうにょらい)、金色宝光妙行成就如来(こんじきほうこうみょうぎょうじょうじゅにょらい)、無憂最勝吉祥如来(むゆうさいしょうきちじょうにょらい)、法海雷音如来(ほうかいらいおんにょらい)、法海勝慧遊戯神通如来(ほうかいしょうえゆげじんづうにょらい)の七仏をお祀りして祈る方法です。

 薬師如来以外の六仏は、薬師如来が変化されたお姿です。この七仏それぞれの尊像の前に七つの灯明を掲げて、五色の大幡と四十九流の小幡とを掛けて、七日七夜の間、精進潔斎をして、恭敬礼拝して、焼香、散華をし、お経を読誦書写し、魚や鳥たちなどの生き物の命を放って仏さまを供養すれば、一切の病苦、一切の厄難から離れることができるとされています。したがって、この大法は、攘災与楽、福寿増長を祈る最高の秘法なのです。

 また七仏薬師大法は、慈覚大師が入唐して相伝されたもので、嘉祥3(850)年3月に清涼殿で修されたことがはじまりとされていて、この時、清涼殿を覆っていた赤色の雲がたちまち消散したと伝えられています。その後、天暦10(956)年5月11日には、慈恵大師が、坊城殿において内親王の安産を祈願してこの法を修しました。

 このように、大昔の人たちも病の苦しみにはかないません。どうぞ、お薬師さまを信仰され、自覚症状がないからとか、今のところ大丈夫だからとか言っていないで、人間ドックなど受診されて、よりよい健康状態を目指してみてはいかがでしょうか。今日も楽しい一日を。