針供養

 いいお天気の京都東山です。今日はお薬師さまのご縁日にて、雙林寺では護摩を奉修いたします。そして、暦には「針供養」と記されています。京都では、十三参りでもご紹介しました、嵐山の法輪寺で行われる針供養が有名です。

 元々は、「皇室で使用された針をご供養せよ」と、平安時代に清和天皇が針を納めるお堂を法輪寺に建てたことから始まったそうです。現在でも皇室からお預かりした針の他にも、一般家庭で和裁やミシンなどの針仕事で折れたり曲がったりしてしまった針の供養も行なわれています。

 針供養法要では、五色の糸で装飾された30cmもある大針をタテ17センチ、ヨコ40センチ、高さ14センチある2段重ねの大きなこんにゃくに刺して、参拝者は、針に感謝して、裁縫、服飾、芸術など技芸の上達を祈願します。 

 日本には、あらゆるものに「神さま仏さま」や「精霊」やら「魂」が宿るという考え方がありますが、針供養も「物であっても心をこめて大切に取り扱う」という精神の現れなのでしょうか。物に対して気持ちを込めると、いい仕事をしてくれたり、自分を楽にしてくれますね。

 また、その物を通して、人の思いや気持ちがほかの人たちにもつながっていくようにも思います。大量生産、大量消費の世の中ですけれども、針だけでなく、使ってきた物が役目を終えたときには、感謝の気持ち、すなわち、「供養」の心を向けたいですね。今日も楽しい一日を。