かかし

 今日は曇り空の京都東山です。さだまさしの歌を聞いていてちょっと気になって案山子について調べてみました。

 ご存知のように、案山子とは、作物を荒らすスズメなどを脅して追い払うために田畑に立ててある、竹や藁で作られた人形のことです。古くは古事記にも登場する田畑の神さまでもあったそうです。

 案山子には3つの種類があるようです。1つ目は、田んぼにしめ縄を張って神さまの依り代として人形の形をして立ててあるもの。2つ目は、獣肉や魚の頭、髪の毛などを焼き焦がして、串にさして田畑に立てて、その臭いで鳥獣が近づかないようにするもので、「案山子」の名前も、「嗅がし(かがし)」から来ていると言われているそうです。3つ目は、音や色、形で鳥獣を驚かすために立てられてあるものです。

 農家の人たちは、田畑が荒らされないように、一日中見張りをしておくわけにも行きませんから、ほかにも空き缶の音や空砲音で脅かす仕掛けや、キラキラと光る金属片などをぶら下げて惑わす方法など、さまざまな知恵と工夫で農作物を守らているのですね。

 このように、収穫が間近になった農作物を狙ってくる鳥獣たちを様々な方法で追い払うのですが、撃退しているだけで決して殺傷するということはありません。こういう発想は仏教的です。玄関に貼る御札も病魔から逃れるとか悪魔が来ないとか、つまり追い払うのです。いずれにしても、日本の田園風景にどこかユーモアを交えた案山子に感謝です。今日も楽しい一日を。