檀家とは

しょうぐうさん
 晴れ空の京都東山です。今日は牛若丸の修行の地として知られる鞍馬寺で竹伐り会式が行われます。僧兵のいでたちの鞍馬法師らが、大蛇に見立てた青竹を伐る豪快な行事です。

 さて、お寺でよく聞く言葉に「檀家」があります。檀家とは、仏教を信仰し、帰依する寺院(菩提寺)を護持する家という意味です。公家や武家が特定の菩提寺をもったことに始まり、近世初めに民衆の世帯が家として成立してくるようになると、菩提寺と檀家とが固定するようになってきました。この状況をふまえて、江戸時代にキリシタン禁制を強化するために全国で寺請(てらうけ)制度が施行されます。また、寺請制度は一般民衆を特定の寺院に強制的に所属させて戸籍登録を行わせるものでしたが、やがてその基礎単位となる世帯のことを「檀家」と呼ぶようになりました。

 檀家という言葉は、古代インドの言語であるサンスクリット語の「ダーナ」に由来し、中国では漢字で「檀那」と音訳されました。私たちが日常生活でよく使う「旦那」という言葉の起源でもあります。もともとは、「布施」とか「与える」という意味ですが、日本では寺院や僧侶に寄進する後援者を意味するようになり、これが転じて檀家と呼ばれるようになったのです。また布施を受ける寺のことは「檀那寺」と呼ばれました。

 檀家制度は日本で誕生しましたが、仏教教団を経済援助する人々は今から遡ること二千五百年前のお釈迦様の時代からすでに存在しました。インドのコーサラ国の都、舎衛城(しゃえいじょう)という所にスダッタという資産家がいました。ある時、お釈迦様の説法を聞いて深い感銘を受け、「ぜひともお釈迦様とそのお弟子さん達が集団で修行ができる施設を建ててさしあげよう」と、土地を手に入れて、「祇園精舎」を建てました。これがお寺の第1号といわれます。スダッタは檀家の第1号といってもよいでしょう。

 以上のお話により、「布施」には(お釈迦様が)法を施す「法施」と、(スダッタが)財を施す「財施」とがあることも示されます。この、お釈迦様とスダッタ長者のような関係であることが、本来の、またこれからの寺と檀家のあり方だろうと思われます。(天台宗HPより)今日も楽しい一日を。