終い地蔵

地蔵菩薩 雙林寺蔵
 明け方雪がちらついていましたが、ただいま晴れ空の京都東山です。さて、今日は今年最後のお地蔵さまのご縁日となります。

 お地蔵さまはもともと長者の息子でした。ある日、獅子奮迅具足万行如来(ししふんじんまんぎょうにょらい)という仏さまに出会われます。その仏さまのお姿の尊さ、お美しさにたいそう感動されて、「私も六道の罪で苦しんでいる人たちを救い仏になろう」とお誓いをたてられ、今もお修行されています。丸い童顔に赤い涎掛けのお坊さんのお姿は、とても親しみやすく、私たちを和ませてくださいます。道祖神的な信仰もあって、時代劇の道中ではよく見かける存在ですね。

 そして、右手に錫杖、左手には宝珠をお持ちです。錫杖は、はるか遠い旅路で使われている杖のことで、これを地面に突きながら私たちに会いに来てくださいます。錫杖の先には輪が付いており、歩くたびに「シャンシャン」という音が鳴り響き、その音が鳴ると、毒蛇や害虫が逃げ去って行きます。このことは、私たちの心の迷いや煩悩を毒蛇や害虫に例えて追い払って下さることを表しています。左手の宝珠は如意宝珠ともいいますように、そこから光が放たれて、智慧を授けてくださり、私たちの願いを思いのままに叶えてくださいます。

 また、お地蔵さまは他の菩薩さま方とは違って、首や手や胸に、沢山のアクセサリーを身につけておられません。お坊さんと同じ質素で清潔な格好をされておられるので、ありがたみを感じられ、隣で寄り添って、私たちを守り救って下さるという大きな安心感も伝わってきます。「賽の河原」「笠地蔵」「地蔵盆」など身近なところでお地蔵さまのお話はいくつもありますね。

 雙林寺のお地蔵さまは「持病平癒地蔵尊」といわれ、病気平癒にもご利益があるとされています。どうぞ、薬師如来さまと併せておまいりください。今日も楽しい一日を。