十一面観音さまご縁日

十一面観音
 よく晴れていますが、冷え込んで寒い京都東山です。今日の最高気温は10℃に満たない予報です。

 さて、今日は十一面観音さまのご縁日となっています。十一面観音さまは、そのお名前の通り、頭に十一の顔がついてあります。

 まず、正面には菩薩面が三つあります。これは、一番上にある如来のお心を私たちに対して優しくお説法をしてくださっているお顔です。左側には怒ったお顔のようですが、牙は出ていなくて、実は唇をかみしめて泣いておられるお顔があります。瞋目面(しんもくめん)といいます。正面の菩薩さまが一所懸命お説法されていても、聞いている私たちがなんのことやらわからないとか、お説法を聞かずざわざわと話をしたり、そしらぬ顔をしているとき、そういうなかなかわかろうとしない人たちを可哀そうだと思って、泣きながらお説法しておられるのです。また、右側には牙を出しているお顔が三つあります。こちらも瞋目面なのですが、牙が出ているので、本当に怒っておられるお顔です。説法をしているときに邪魔をしてくる魔物たちに対して、怒って追い払おうとされています。

 そして、正面からは見えないのですが、後ろには口を大きく開けて大笑いされている「大笑面」のお顔があります。これはいわば三千大千世界を大笑されているのです。観音さまがこの場所でお説法されて、また次のところに行かれてお説法されるのですが、その後ろ姿をありがたいといって拝んでいる人もいますし、なんかつまらんかったとか、よくわからんかったとか言ってる人たちなど、いろいろな人がいます。観音さまはそういう私たちをご覧になって、「そうか、そうか」と大笑いして、「また来るよ」といわれているのです。そんな感じだと思います。今日も楽しい一日を。