別請廣学竪義

 どんよりとした曇り空の京都東山です。少し寒く感じます。さて、昨日は延暦寺で4年に1度の別請廣学竪義(べっしょうこうがくりゅうぎ)が営まれていました。天台宗には、大僧正などとは別に、望擬講(ぼうぎこう)→擬講(ぎこう)→已講(いこう)→探題(たんだい)という法階があります。それぞれの位になるための必要条件をクリアすると、望擬講から順に位が上がります。このことを経歴法階といいます。現在、このような経歴法階の段階を進むには、宗規則で規定されていますが、延暦寺一山の長老、宗派行政における重鎮、学識経験者、地方大寺院の住職などの僧侶となっています。

 別請廣学竪義とは、最高の法階である探題に至るための論議法要のことです。「竪義」とは試験のことで、学識と信仰が試されます。試験官役の探題の方から論題が与えられると、問者(もんじゃ)と豎者(りっしゃ=受験者)との間に四重の問答の往復があり、問答における豎者の答弁に対して、更に探題より三重の問答が行なわれ、あらゆる角度からお経の深い意味を論じ尽くして、探題が豎者の合否を下すという内容です。この法会は、儀式的に論義をかわすだけでも14、5時間もかかるという大法会です。

 この法会で豎者となれる資格は擬講の方で、問者は、一之問は已講の方、二之問・三之問は望擬講の方々がその役に当たられます。そして、この法会が終わりますと、一之問の已講の方は探題に、竪者の擬講の方は已講へとそれぞれ天台座主より補任状が授与されることになります。また、この新探題、新已講になられたお二方は来る法華大会において主役をお勤めになります。それにしても、長時間おつかれさまなことです。今日も楽しい一日を。(写真は「しょうぐうさんブログ」から拝借しました)