てぶくろの日

 いいお天気の京都東山です。今日は「てぶくろの日」だそうです。「て(10)ぶ(2)く(9)ろ」(手袋)と読む語呂合わせと、素手で行う作業がつらくなり、手袋をし始める時期に入ることから、総合手袋メーカーの株式会社東和コーポレーションによって制定されたとのことです。

 手袋といってもいろいろな種類がありますね。防寒としてだけではなく、化学物質や医療では感染症から手を守るものもありますし、最近では、手に装着したままスマートフォンを操作できるものも販売されています。寺では軍手が欠かせません。

  • 裏布なしオールコートタイプ (全体がゴム等で覆われていて、裏に布がついていない)
  • 裏布付きオールコートタイプ (全体がゴム等で覆われていて、裏に布がついている)
  • 背抜きタイプ (内側が布製で、 手のひら部分のみゴムで覆われた手袋)
  • 布タイプ (すべて布でできている手袋)
  • 皮手袋 (豚革や牛革、 合皮等でできた手袋)
  • その他 (使い捨てタイプ等)

 手袋の歴史は少なくとも古代ギリシア時代に遡るそうですが、日本では、約90%が香川県東かがわ市周辺で作られているとのことで、手袋について調べていますと、お坊さんのお話がありました。

 明治のはじめ、香川県、現在の東かがわ市にあった白鳥村に千光寺という寺があり、両児舜礼というお坊さんがいました。彼は34歳で、19歳だった三好タケノという少女と恋仲でした。その当時の結婚はお互いの両親が決めた相手とするのが常であり、お坊さんの結婚もままならなかったようです。そこで二人は、大阪へと駆け落ちしたのでした。大阪での暮らしは決して楽ではなく舜礼は托鉢に回り、タケノはメリヤス製品の内職をして家計を支えました。ある日のこと舜礼はタケノが扱う内職の中の、てぐつ(手靴)と呼ばれる指なしの手袋に目をとめます。郷里からタケノの従弟だった棚次辰吉ら数人の若者を呼び寄せて、自らが手袋の製造を始めたのでした。しかし、舜礼は急死してしまいます。大阪に渡ってから5年後のことです。その後、間もなく棚次辰吉は職人らと東かがわに帰郷し、地元で手袋づくりを始め、これが香川手袋の発祥となったのだそうです。

 このお二人がすんなりと結婚できなかったことで「香川のてぶくろ資料館」までできるほどの産業となっているようです。こういうことも「縁は異なもの味なもの」なのでしょうか。今日も楽しい一日を。