念珠 |
数珠のことを念珠ともいいまして、仏さまを拝むときに手にかけたり、或いはお念仏やご真言を何回唱えたかを数えるときに使用する法具のことですね。数珠を持つということは、仏教信者の証で、日々信心を深めることにもなることと思います。
数珠について説かれているお経はいくつかありますが、その中でも「金剛瑜伽念珠経」には、「煩悩を滅ぼすには、数珠を常に身につけ、専心に諸仏の名号を唱えよ」と説かれていますし、「数珠功徳経」によると、珠の数を108とすることが書かれてあります。108の煩悩を意味しますが、それをまた108の智恵で滅するともいわれています。つまり、すべての煩悩が信仰の力によって、そのまま108の仏さまのお徳に変えることができるということなのですね。それゆえに、これらのひとつひとつの珠は尊い仏さまであり、私たちの本来持っている仏性とか純粋無垢な心を表しているのです。
数珠をよく見ますと、この108の珠のほかに、母珠(俗におや玉と呼びます)とよばれる大きめの珠がついています。これは阿弥陀さまを表しています。その母珠からそれぞれ、10個、20個の小さい珠のついた房が付いています。これを弟子玉とか記子といいまして、福徳と智恵を表しています。そして記子の先には露のたれるような涙形をした珠がありますが、これを記子留、或は露といいます。さらに、母珠から7個目と21個目に、形や色、材質の違う珠が全部で4個ありますが、これらは四天珠といって、仏法守護の四天王を表しています。
また、念ずる本尊さまが仏部のお方は菩提樹子、菩薩部のお方は蓮子、天部のお方は金剛樹子の数珠を用いると言われています。
数珠の糸が切れると、縁起が悪いとか不吉だ、などとおっしゃる方がおられますが、これは迷信だと思います。数珠を使ってそれだけお念仏やご真言を唱えたということですもの。今日も楽しい一日を。