雪駄 |
お坊さんが使用する履き物には、草鞋(そうかい)、鼻高(びこう)などがあります。草鞋は、金襴の織物が張られており、かかとを覆わない形をしている木製の靴です。今でいうスリッポン型です。同じ形で黒漆塗のものが鼻高です。神社では神主さんが履いているところをよく見かけますね。天台宗の僧侶は法華大会のときに延暦寺大講堂に入堂すると「実名!」と問われ、鼻高が投げ込まれるというのは、有名なお話です。
これらは法要の時に使用されるものであって、普段は、雪駄、下駄を履きます。雪駄は、畳表と裏革を針と糸で縫い合わせるといった構造で、裏側の踵部分にベタガネという金具がついています。昔はこれをチャラチャラと鳴らしながら歩くのが粋とされていたそうです。京都には「雪駄チャラチャラ魚の棚~♪」という歌がありますよね。しかし、それがうるさい、滑る、道が傷つくなどという理由で、段々と金属から革製の踵に変わっていきました。また、畳表の他にも革、布、ビニールなども使用されるようになり、底の素材はコルク製からウレタンへと変化しています。もちろん、昔ながらの雪駄もありますが、安価なものに比べると十倍くらいのお値段がするんですよ。
ちなみに、お坊さんたちが集まると出入口には同じような雪駄が何足も並ぶので、それぞれ間違わないように、寺や自分の名前を記したり、丸や線、記号などの目印がついていたりして、ちょっとおもしろいので、機会があれば観察してみてください。
また、草履類は鼻緒を挟み、台を踏ん張るため足の筋肉が鍛えられ、足裏の土踏まずの形成や外反母趾の予防にもよいとされています。それに基本的には素足で履くものなので、足が蒸れず水虫にもなりにくいという効用もあります。草履は多湿な日本に適した健康的な履物ですよね。今日も楽しい一日を。