布施

 曇り空にて少々肌寒さを感じる京都東山です。さて、お彼岸が始まりました。彼岸でよくいわれるのが六波羅蜜の実践です。六波羅蜜とは、布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧のことで、これらの実践によって生きながらにして彼岸へ渡ることができるとされています。

 ということで、今日は「布施」についてです。「布施」といいますと、今ではお寺へ納めるお金のことのようになっていますが、もともとは、インドは暑くて、人々は布を身体に巻いて暮らしていましたので、その布を施すということからできた言葉です。そこから布施は、周りの人にプレゼントをしようというお修行のことなのですが、このプレゼントは物でなくてもよいことになっています。「雑宝蔵経(ぞうほうぞうきょう)」には「無財の七施」が説かれています。

  1. 和顔悦色施(わげんえつじきせ)…にこやかな顔で人々に接すること
  2. 眼施(げんせ)…やさしい眼差しで人々に接すること
  3. 言辞施(ごんじせ)…やさしい言葉で人々に接すること
  4. 身施(しんせ)…自分の身体でできることを奉仕すること
  5. 心施(しんせ)…思いやりの心を持って人々に接すること
  6. 床座施(しょうざせ)…座席や場所を他の人に譲ること
  7. 房舎施(ぼうしゃせ)…自宅に人を迎えてもてなすこと

 お金をがなくても、物がなくてもこのようなプレゼントをすることは、周りの人たちに喜びを与えることができ、少しでも喜んでいただける方法です。難しく考えなくても、あいさつして笑顔で親切に接するということでいいように思いますけど、言葉でいうほどそう簡単じゃないのですよね。今日も楽しい一日を。(イラストは「天台宗一隅を照らす運動本部ホームページ」から拝借しました)