お中元

 曇り空にて蒸し暑い京都東山です。7月に入りますとお中元を贈ったり贈られてきたりと昔ながらの文化が始まります。幼い頃は、何が届いたんだろうときっと素敵なものだろうと期待しましたし、ジュースなどを頂くと喜んだりしたものです。

 もともとお中元は、中国の道教に由来する節句(7月15日)で、その日に神様にお供え物をすると罪が赦されると信じられていたそうです。そして、その時期は日本ではちょうどお盆と重なっていたため、ご先祖さまにお供え物をする習慣と習合したようです。それがいつしか、親戚やお世話になった人などへ贈り物をするという習慣に変わっていったと言われています。

 正直なところ、贈り物をいただくとうれしいものですよね。人からの贈り物は、自分では買わないものや、普段口にしないものもあって、それらとの思わぬ発見や出会いがあったりして楽しかったりします。反対に自分が贈る側になったときも、贈る相手を考えて、何を贈ろうかとたくさんの商品の中からあれこれと悩んで選ぶのも楽しいものです。

 お中元をいただいたらお礼状に近況報告など添えて、いつもはスマホのテキスト文字が中心ですが、自筆の字の方が気持ちが伝わるようにも思います。このように、相手を想い、時間や手間をかけて何かをすることが、「忘己利他」の精神ですし、プレゼントは「布施」にもつながります。形式的に済ますのではなく、手間暇をかけるいつまでも続いてほしい文化のひとつです。今日も楽しい一日を。