ホワイトデー

 夜中には春の嵐のように風と大雨に雷でしたが、現在はどんよりとした曇り空の京都東山です。さて、今日は楽しいホワイトデーですね。バレンタインデーにチョコレートを贈られた男性が、返礼のキャンデーやマシュマロなどをお返しする日です。他にも、314から「円周率の日」、円周率から「パイの日」でもありますので、パイを贈ってもおもしろいかもしれませんね。

 なぜ3月14日なのかは、西暦269年2月14日、兵士の自由結婚禁止政策に背いて結婚しようとした男女を救うためにバレンタイン司教が殉教しましたが、3月14日に、その2人は改めて永遠の愛を誓い合ったとされていることや、古事記および日本書紀で日本で初めて飴が製造された日が3月14日前後とされていることに由来するそうです。普段しにくいプレゼントもこのようなきっかけがあれば、日頃のお世話に感謝を込めてできますよね。

 仏教では贈りものをすることを「布施」といって大切な行為だと説かれています。布施とは、今ではお寺へ納める金銭のことのようになっていますが、そうではなく、悟りに至る為に行うべき実践行である「六波羅蜜」の一つの修行です。「布」は分け隔てなくとか、あまねく、「施」は文字通りほどこすという意味です。何もお金や物を贈ることだけではなく、周りの人々に喜びを与えていく、少しでも喜んでいただくことが布施です。その布施には種類があり「無財の七施」と呼ばれています。

  1. 眼施(げんせ)・・・やさしい眼差(まなざ)しで人に接する
  2. 和顔悦色施(わげんえつじきせ)・・・にこやかな顔で接する
  3. 言辞施(ごんじせ)・・・やさしい言葉で接する
  4. 身施(しんせ)・・・自分の身体でできることを奉仕する
  5. 心施(しんせ)・・・他のために心をくばる
  6. 床座施(しょうざせ)・・・席や場所を譲る
  7. 房舎施(ぼうじゃせ)・・・自分の家を提供する

の七つです。

 伝教大師さまは「悪事は己に向かえ、好事は他に与え、己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり」と説かれておられます。もらうだけのTake(テイク)だけではなく、恩返しや御礼をしましょう。周りの人に喜びを与えるGive(ギブ)をしましょう。たとえささやかでも私たち一人ひとりの行いが、周りを明るく幸せにできると思いますし、自分もハッピーな気分になれますよね。今日も楽しい一日を。