忠盛灯籠

忠盛灯籠
 概ね晴れ空の京都東山です。さて、昨日に引き続き平家物語つながりで、「忠盛灯籠」のいわれです。八坂神社の本殿の東側に、石柵で囲まれてある石灯籠が忠盛灯籠です。

 「平家物語」巻之六によると、五月のある雨の夜、白河法皇が祇園女御の御屋敷へ訪れようと、八坂神社のこのあたりを通りがかった時、法皇一行の前方に光る鬼のようなものが現れました。よく見ますと、銀の針で頭が覆われ、手に光る物と槌を持っている不気味な姿をしています。法皇は間違いなく鬼であろうと恐れおののき、この鬼をすぐに討ち取るよう平忠盛に命じました。

 ところが、忠盛は、すぐに討ち取ることはせず、生け捕りにしたのです。すると、それは灯籠に灯明を灯していた祇園社(現、八坂神社)の社僧だったのです。社僧が身に着けていた雨具の蓑が灯明の光で輝いて銀の針のように見えていたそうです。

 このときすぐに無益な殺生をすることなく、正体を見定めてからとの思慮深い忠盛の行動に人々は感嘆したということです。その時の灯籠が今も残っているのですが、灯明は点いていないようですね。今日も楽しい一日を。