特別展「最澄と天台宗のすべて」

九州国立博物館入り口
 晴れ空ですが寒く息も白く見える京都東山です。さて、天台宗の開祖最澄さまの1200年遠忌を記念して、ただ今、九州国立博物館では、特別展「最澄と天台宗のすべて」が開催されています。天台宗総本山比叡山延暦寺をはじめとする全国各地に伝わる秘仏や仏画、書跡など国宝24件、重要文化財68件を含む天台の至宝115件が、一堂に会しています。

 ということで、参観してまいりました。今回興味深かった仏さまは、九州会場のみのご出陳の「太郎天」です。いわゆる天部の神さまなのかと思いましたら、少しニュアンスが違っていました。「太郎天は大日如来の化身で、悪魔を降伏させる不動明王の霊験を持っている」らしく、たしかに、二童子立像とともにお祀りされていました。調べてみますと、簡単には神像とも、仏像とも言えない、何とも不思議な来歴をお持ちのお像でした。

 「菩薩遊戯坐像(伝如意輪観音)」は、X線調査を実施されたところ、お像内の首の部分に、高さ約5センチ、幅約2センチの木製の五輪塔が納められてあることが判明し、さらにその五輪塔の内部に、仏舎利を表現した直径1~3ミリの粒が約20個ほど納められていることが確認されたとのことです。この五輪塔を3Dプリンターで復元されてましたが、とても小さかったです。この菩薩遊戯坐像は60年ぶりの御開帳とのことでしたので、しっかりと拝みました。

 そして、「性空上人坐像」もすごいオーラが出ていました。こちらのお像もX線調査を実施されたところ、胎内に骨壺があり、高さおよそ20センチ程度の大きさのおそらく陶器製で、その表面が釉薬によるガラス層で覆われているということがわかったそうです。さらに骨壺の中には、性空上人の遺骨らしきものも鮮明に確認されたとのことです。現代の科学で当時の人々の想いが伝わってくるようです。

 また、「浄土曼荼羅刻出龕(がん)」も印象に残りまして、見た目はとても小さく、縦13.5cm、横14cm、奥行4cmなのだそうです。とにかくとても細かく、一木造りだということですから、見事な職人技に感動しました。

 さらに、横川中堂のご本尊「聖観世音菩薩立像」は、お背中の方からも拝めるようになっていまして、ありがたかったです。

 総じて東京での開催もすごかったですけれど、九州は九州の地域性が活かされた内容やご出陳でよかったです。会期は、2022年3月21日までです。詳しくは次のURLをチェックしてみてください。今日も楽しい一日を。

■九州国立博物館↓↓

https://www.kyuhaku.jp/exhibition/exhibition_s63.html