雙林寺 薬師如来坐像 |
雙林寺の薬師如来坐像も言い伝えによりますと、大師御作で、805年創建当時からご本尊としてお祀りされています。(重要文化財)高さおよそ90センチメートルの一木造りで、実に堂々としたお像です。
そもそも薬師如来さまは、一般の人から病気平癒の仏さまとして「おやくっさん」と呼ばれ親しまれています。正式には、「薬師瑠璃光如来」と申しまして、遥か東の彼方に瑠璃で出来ている浄瑠璃世界があり、そこで教主をされているため、そのように呼ばれています。ちなみに、その世界を歌ったものが昔から親しまれている歌曲「浄瑠璃」なのだそうです。
そのお姿は、右手は、私たちに手をかざしたような施無畏印、左手には薬壷をお持ちになっておられます。薬壷とは、文字通り薬の壷のことで、その中には、からだの病気はもちろんのこと、心の病、社会の病など、すべてを治してしまうという何にでも効果があるという妙薬が入っています。このお薬で私たちの毎日の暮らしの中で発生する悩みや苦しみを解消して下さいます。
今日、このように薬師如来さまが広く人びとから信仰され、親しまれてきた理由のひとつに、病気平癒、無病息災などの現世利益がありますが、本来は、世のため人のためになることを行う場合に障害となる全般的な苦しみを、薬師如来さまにお縋りすることで解放されるということなのです。そのことにより、一生を安楽に過ごすことができるようになり、その結果、仏道を乗ずる、すなわち、わが国土を浄瑠璃の浄土に変えていくことになるのです。今日も楽しい一日を。