鰐口

 

雙林寺 鰐口
 今朝はどんよりとした曇り空の京都東山です。さて、鰐口とは寺社の本堂や拝殿の正面軒先に吊り下げられた打楽器の一種です。金口、金鼓などとも呼ばれます。

 鉦鼓を2枚合わせて、下に口をつけ、鈴をつぶしたような扁平な形をしていて、上部に釣るための耳が上部に2つ付けられています。その多くは、鋳銅製、鋳鉄製となっています。鰐口という名称は、「和漢三才図絵」の「神祭佛供器」の項に「口を裂くの形、たまたま鰐の首に似たるが故に之を名ずくるか」とあり、口が鰐の口に似ているところからつけられたそうです。奈良・長谷寺蔵の鰐口には、建長3(1192)年の銘文があり、これには「金口」とあるので、古くは鰐口とは呼ばれていなかったようです。

 それはそうとしまして、鰐口を鳴らすために綱が吊るされています。お参りの際はそれを持ってカンカンと鳴らすわけですが、大きな音を出す必要はありません。全力で鳴らされますと、私どものような小型の本堂は全体が揺れて何事が起こったのかと驚くのですよ。それよりも、適度な強さで心地よく聞こえるように鳴らす方が本堂周辺にも響いて、耳に届いたみなさんの気持ちも落ち着くのではないでしょうか。とにかく、鰐口は、綱を思い切り振り回して、鳴らさないようにしましょう。今日も楽しい一日を。