セミ

 今日は薄曇りにて蒸し暑さを感じる京都東山です。数日前からセミが鳴き始めましたので、玄関を見てみますと、早速、抜け殻がありました。雨が降っていたせいなのか、普段より多めに土がついています。たぶん、これはアブラゼミのものですかね。

 昔、台湾のお土産です、とセミのストラップをいただいたことがあります。一般的にセミは7年間土の中にいて、羽化して成虫になると7日間しか生きられないと言われており、もののあわれさを感じさせます。一方、中国では、幼虫期の長さと土の中から出てきて成虫になり飛び立っていくところに着目し、蝉は「再生と復活のシンボル」とされているそうです。成虫の生き様に着目し、日本のように、地上での命が短く儚いという見方ではなく、むしろ生命力の強さを感じる生き物であるようです。やかましいくらいに元気に鳴き続けますものね。

 また、中国には「セミは美人の生まれ変わり」という故事があり、セミは永遠の美の象徴ともされているそうです。なので、中国では、蝉は縁起物として尊ばれ、今でも、翡翠や金属で蝉の工芸品・装飾品が多くつくられているというわけです。

 ちなみに、現在修復工事中なので見られるかどうか確かではないですけれど、実は、比叡山根本中堂にもセミの装飾品があるんです。中陣と内陣を仕切る扉の金具を探してみてください。縁起物として、お堂建設に携わった大工さんが止まらせたのかもしれませんね。今日も楽しい一日を。